医学

『骨質と骨粗鬆症』文献抄読

今回は総説「骨質と骨粗鬆症」斎藤充先生、丸毛啓史先生が書かれた論文をまとめていきたいと思います。

The Joumal of Japan Osteoporosis Society Vol.2 No.2 2016に掲載されていました。

骨リモデリングとは独立した機序で骨強度を規定する骨質因子(材質)について概説する。

骨強度低下のメカニズム

性ホルモン欠乏や加齢に伴う骨吸収優位の骨リモデリングの亢進により、単位面積当たりの石灰化度の低下や骨微細構造の破綻が生じる。

その結果、面積あるいは体積骨密度は低下する。

これらの因子は骨リモデリングに依存するため骨密度測定、CTによる微細構造解析、骨代謝マーカーで評価できる。

これに対し、性ホルモンの減少や加齢、生活習慣病の罹患により高まる酸化ストレスや糖化の亢進、ビタミンD不足はコラーゲンの架橋異常を惹起し、骨強度低下を招く。

コラーゲン架橋の異常は骨リモデリングの亢進とは独立した機序である。

その評価には骨マトリックスマーカー、ホモシステインや終末糖化産物(AGEs)のうち、酸化により誘導されるペントシジン(Pen)やカルボキシルメチルリジン(CML)によるエビデンスが報告されている。また超音波による材質評価も報告されている。

 

骨質因子(コラーゲン架橋、石灰化、微細損傷)の相互関係

石灰化の足場となるコラーゲンの架橋異常は、その後の1次および2次石灰化に悪影響を及ぼし、微細損傷を誘発すると考えられる。

このため材質の劣化に関しては、骨リモデリングとは独立したコラーゲンの架橋異常を捉えうるバイオマーカー[ペントシジン(Pen)、カルボキシルメチルリジン(CML)]や超音波測定などでコラーゲンの異常を評価することにより、ハイドロキシアバタイトの異常や微細損傷の発生を想像することは可能であると考える。

 

コラーゲンの架橋の分類

酵素依存性架橋の総数と組成比は骨芽細胞が産生する酵素依存性に誘導され、石灰化を誘導し、強度を高める善玉架橋である。

これに対し、AGEsの総数は、酸化ストレスや糖化ストレスの程度に依存している。

AGEsは骨芽細胞機能を低下させる。また、コラーゲンを無秩序に架橋するため、コラーゲン線維からしなやかさを失わせ脆弱にする悪玉架橋である。

骨粗鬆症の治療に際しては、骨リモデリングを制御すると同時に、骨芽細胞機能を高めて、適正なコラーゲンの架橋形成を誘導する必要がある。

 

 

 

一言まとめ

骨は鉄筋コンクリートと類似した構造であり、コラーゲンが鉄筋、カルシウムはコンクリート、酸化・糖化は風化や錆と考えると、時間経過とともに古く脆くなる、そのため耐震工事と同じく、新しくしていく必要がある。

 

 

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