文献抄読

「骨粗鬆症・椎体骨折治療体系における運動療法の役割」文献抄読

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは骨の密度が減少します。骨密度が減り、骨が弱くなることで骨折しやすくなります。
日本では約1000万人ほどいるといわれており、高齢化になるにつれその数は増加傾向です。
骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。

骨粗鬆症と椎体骨折との関係性


前述した通り、骨粗鬆症になると骨折のリスクが高くなります。
また、高齢化に伴い筋力の低下が起こり、転倒しやすくなります。
一般的に骨折の好発部位として、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)、そして背骨(椎体骨折)と言われています。
そのため、骨粗鬆症になった方は椎体骨折を受傷しやすいことになります。

椎体骨折後に及ぼす身体への影響

椎体骨折受傷直後は強い痛みにより日常生活での活動量が減少します。そのため、筋力の低下が起こり背骨(脊柱)の変形が起きやすくなってしまいます。特に猫背(胸椎後弯)になりやすいといわれています。
背骨が変形すると、体のバランスも悪くなってしまい、転倒するリスクがより高くなってしまいます。

骨粗鬆症に伴う背骨(脊椎)の障害に対する運動

骨折してすぐ(急性期)に体幹の運動を行うと骨がくっつくのを阻害する恐れがあるため行いません。
骨がくっつくまでは足の運動や歩行訓練などなるべく負担がかからないように行います。
また、寝るときに上向きで寝てしまっても骨がくっつくのを阻害してしまう可能性があります。そのため、骨折後すぐは横向きで寝ることを推奨しています。

運動が骨粗鬆症患者に与える影響

強い負荷のかかる運動では、腰椎の骨密度がわずかに増加するといわれています。椎体骨折を受傷した方に対しては、強い負荷のかかる運動よりもウォーキングなどの有酸素運動が適しているといわれています。負荷の低い運動では骨密度に与える影響はないと報告されています。そのため、骨密度を増加させる目的で、椎体骨折を受傷した骨粗鬆症に対する治療としては薬による治療が適しているといわれています。
椎体骨折に対しての運動は骨密度自体に改善はないものの、疼痛の軽減や再転倒予防のためのバランス能力は改善するといわれています。特に背中の筋力訓練は猫背(胸椎後弯)になりにくいともいわれています。

負荷が少ない背中の筋力訓練

負荷量が高い運動では、骨粗鬆症を伴う高齢者には骨折や疼痛を生じる恐れがある為、運動の負荷量は注意が必要です。
運動の行い方としては、背骨が反りすぎないようにうつ伏せでお腹に枕などを入れ、腰を曲がった状態で始めます。
そこから、ベッドと身体が平行になるところでとめます。反りすぎてしまうと背骨への負担が大きくなってしまうため注意が必要です。

さいごに

骨粗鬆症が既往にある椎体骨折を受傷された方についての治療としてなにが必要となるのか、今回の勉強会で学ぶことができました。背骨の骨密度に対しては、服薬管理での治療が重要です。また、一度の骨折によりバランス能力の低下に伴い再転倒リスクが高くなります。そのためにも、リハビリテーションにて疼痛の軽減、筋力の増強が必要になります。

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